「直営店を10年やってきたんだから、FC化もそれほど難しくないだろう」
正直に言うと、最初はそう思っていました。
私たちはこれまで、謎解きルームの直営店を運営してきました。謎解きの企画も、店舗運営も、集客も、自分たちなりのやり方ができています。
だから「FC本部を作るのも、その延長線上だろう」と考えていたんです。
でも、実際はまったく別物でした。
結果から言うと、空き家謎解きゲームFCの立ち上げには、想定の3倍ほどの時間とコストがかかりました。
一番大変だったのは「人に渡せる形」にすること
特に想定外だったのが、
- 契約書の整備
- 研修マニュアルの作成
- オペレーションの標準化
です。
自分たちだけで店を運営していると、「いつものやり方」で何とかなります。
お客様が来たらこう案内する。トラブルがあったらこう対応する。予約が入ったらこう準備する。
10年やっていれば、こうした判断は半分無意識でできるようになります。
ところがFCでは、それでは通用しません。
初めてこの事業に取り組む人が読んでも、同じように運営できる状態にしなければならないからです。
「自分でできる」と「他人が同じようにできる」。
この2つの間には、想像以上に大きな差がありました。
当たり前を全部、言葉にする
例えば、お客様を迎えるときの説明ひとつとってもそうです。
私たちには当たり前でも、加盟店の方にとっては初めてです。
どのタイミングで説明するのか。何を伝えて、何を伝えないのか。困っている参加者にどこまでヒントを出すのか。
こうした細かい判断を、一つひとつ洗い出しました。
契約書についても同じです。
本部と加盟店の役割をどこまで明確にするのか。ゲームコンテンツをどう扱うのか。運営上の責任をどう分けるのか。
「今まで問題にならなかったから大丈夫」では済みません。
FCにする以上、最初から整理しておく必要があります。
想定の3倍は、痛かった。でも必要だった
もちろん、予定より時間もお金もかかったことは痛かったです。
「こんなに大変なら、もっと早く準備しておけばよかった」と思ったこともあります。
ただ、今になって考えると、この遠回りは必要だったと思っています。
なぜなら、この苦労を加盟店の方にもう一度してもらう必要がなくなったからです。
加盟する方がゼロから契約書を作ったり、運営方法を考えたり、研修の仕組みを作ったりする必要はありません。
私たちが一度つまずいたところを整理して、「引き継げる形」にして渡す。
それがFC本部の役割だと思っています。
FCは「成功を買う仕組み」ではない
ここは誤解してほしくないところです。
FCに加盟したからといって、何もしなくても事業がうまくいくわけではありません。
実際にお客様と接するのは加盟店ですし、地域での評判を作るのも加盟店です。
接客品質や日々の運営は、とても重要です。
ただ、事業を始める前に必要な「仕組み作り」まで全部ゼロからやる必要はない。
そこにはFCの価値があると思っています。
私たちが立ち上げに想定の3倍かけてしまったからこそ、これから始める方には、できるだけ整った状態で渡したい。
失敗した分だけ、次の人が通らなくていい道を作る。
それが、今の私たちのFC本部としての考え方です。